検査機関によって「陽性」「陰性」と異なる結果が出るときがあります
その理由を簡単にご説明します
●陽性 → 陰性となった場合
PCR法遺伝子検査は、検体を採取した「その時」の検査試料内に検査対象の遺伝子があるか、ないか、を検査する方式です。そのため、最初は「陽性」と判定された後に他検査機関で「陰性」となった場合の多くは「陰転した」ことがほとんどです。
タイミング次第では、検体採取日が1週間ことなるだけで陰転している、という可能性は十分あります
陰転は完治したときはもちろんのこと、自己免疫によって細菌やウイルスの排菌を抑え込んでいるキャリア状態でも陰性となります
●検査機関で結果が異なる場合
PCR法遺伝子検査はウイルスなど検査対象の全ての遺伝子情報を読み取り検査するわけではありません
例えば、犬ジステンパーウイルスは全長16,000bのRNAウイルスですが、この全長すべての遺伝子配列を読み取り、データベースと照合して提出された試料にこのウイルスが存在するかしないかを検査する、というのは時間がかかりすぎる(48時間ほど)、コスト面も高額になる(50万円ほど)という問題があります。
そこで、通常は「特異な領域」を選択してその部分が「あるかないか」を検査することで検査時間の短縮(50分~120分)と低コスト化(~数万円)を行っています
鳥インフルエンザや狂犬病のような届出感染症であれば、どの領域を対象とするのかが国の指針で公表されており、どの検査機関であっても同じような検査結果が出ますが、犬ジステンパーをはじめとしてほとんどの細菌、ウイルスなどの感染症ではこういった対象領域については検査機関ごとでマチマチです。一般的には「変異しにくい」「検出感度が実用的」「PCR法で問題となる構造をしてない」などいくつかの条件が合致する領域を選び出して検査を実施します
この選び出された領域については、特許を取得したり、企業秘密(非公開)とするなどして他社が真似できないようにするのが一般的で、「検査機関ごとで結果が違う」という原因となります
一般的にどのような領域を検査対象として選択するにしても、専門的知識と経験を持った技術者が設定しています。当研究所でも犬ジステンパーウイルスとしてデータベースに登録されている約98%の遺伝子、株を検出することができますが、どうしても「100%」とすることができません。変異株を含め、すべてを検出可能とするには「縮重プライマー」で設計することで対応できますが、あまりに多く設計すると「検出感度の低下」「特異性の低下」の原因となるからです
反対に当研究所では検出できない2%の株を検出できる他社検査機関が存在することも確かです(その検査機関でも変異株含めデータベース登録の100%を検出はできないと考えます)
臨床症状や獣医師としての経験、カンを活かして「◯◯検査所では陰性だったけど、これは陽性だと思うから△△検査所にも依頼してみよう」というのは十分理解できることであり、また当研究所でも推奨しています。
一般的には動物用医薬品取り扱いの出入り業者が検体回収する検査機関、病理や培養検査もできる検査機関にまとめて依頼することがほとんどだと思いますが、同じ検査項目であっても「複数の検査機関」へ依頼できるよう準備をしておくと偽陰性に惑わされず、適切な治療を行うことが可能となります
当研究所では、面倒な事前登録不要で定期利用はもちろん、1回だけのスポット検査でも受け入れしております。他社検査結果に疑問を感じたら、セカンドオピニオン検査としてぜひ当研究所をご活用下さい